第28章 かわいい

「二宮先生、もしかしてお名前をお間違えじゃ……?」

橘礼子が切羽詰まった声を上げる。

「うちの娘は橘晴美です。橘結衣じゃありません」

さっきの一瞬、彼女の心臓もひゅっと吊り上がった。

二宮遥人の口から「橘結衣」という三文字が出たのは、あまりに不意打ちだったからだ。

二宮遥人は橘礼子の言葉に顔色を変え、すぐさま橘晴美へ視線を移す。驚いたように眉を上げた。

「君……橘結衣じゃないのか?」

橘晴美は首を横に振る。どこか茫然とした目。

「違いますけど……」

「じゃあ、そっちが勘違いしてる。俺は今日、橘結衣に会いに来たんだ」

二宮遥人はその場にいるお嬢様たちを見回した。

「橘結衣...

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